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全国の877球場を巡った斎藤振一郎さんは、幸せを運ぶ野球愛の人。

公開日: : スポーツ

全国の野球場が877球場あったとして、アナタはその中でどれぐらいの球場に足を運んだことがあるでしょうか?

 

どれだけ野球好きな人でも両手で足りるほどの球場しか知らないのが普通だと思うのですよ。ところが、その877個の球場を一人でコツコツと、ホントにコツコツといった表現がピッタリな訪れ方をした一人の「野球狂」の本が出ました。

 

それが「全国野球場巡り:877ヵ所訪問観戦記」という本。著者は「斎藤振一郎」という人。この人の生きざまと、この人の野球愛が、この本にはビッシリと、そりゃもう、文字通りビッチリと詰まっています。

 

人となりはどこかの作家さんのよう。それもそのはずで、この人のキャリアは元放送作家です。担当番組は「プロ野球ニュース」や「ショーアップナイター」なので、プロ野球が開催される野球場が当然仕事場になるのですから、セミプロの野球関係者とも言えなくはないのですが、ご本人と野球場の関わりは、セミプロどころかプロもまっ青ォ!という恐ろしく濃いものです。そういう仕事をしている人でもちょっと真似できないぐらいのもので、この人の上を越えようとしたら、そういうセミプロよりも、どこか飛びぬけた「アマチュア、マニア」の方が出来るのでは?と思いますが・・・「いやいや~~、この人の上を行くなんてちょっとやそっとでは無理やろうなぁ~」と思います。

 

この事典のような(実際、球場事典と言っても過言ではないです)分厚い本には、斎藤さんの足跡がそこら中に残されていて、野球好きの人でなくてもページをどんどんめくっていってしまいます。

 

例えば

 

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一番広い球場。外野後方に富士山が見える球場。外野後方に太平洋の海波が見える球場。スタンドもなく、外野のフェンスは金網しかない球場。中学生の大会しか実施されない球場。初公式戦の第1球が本塁打となった球場。その他にも写真つきで、僕たちの知らない球場がどしどし紹介されています。

 

斎藤さんが「この球場は来た」と、記録に残すその条件がまた凄い。ただ単純に「訪ねた」だけではダメで、「その球場で試合が行われて、その試合のスコアを付けた」という条件をクリアしなければ球場巡りの数にカウントしないらしいのです。

 

「別にそこまでこだわらんでも・・・誰も見てへんし、誰も解らへんし」と思うのですが、ご本人はいたって大真面目であります。

 

だから「まだ行った事がない球場でも、そこで試合をしてくれないとダメなんですよ。例えば日本生命さんが作った球場は是非行ってカウントしたいのですが、そこで行われる試合の日程がなかなか合わなくて」なんて・・・。誰もそのルールを破っても、誰も何も責めないと思うんだけど(苦笑)

 

男性はこういうマニアとかコレクションとかが大好きなんですが、それでも斎藤振一郎さんのこだわりは、そんな男性でも失笑するというか、ある種の憧れを持つほどのレベルです。

 

野球場のスコアだけがご本人のこだわりではなくて、その野球場へ行くまでの旅程、行程もご本人のこだわりの一つ。すべて自腹での一人旅。新幹線とタクシーは使わない。ある地方では駅から徒歩60分かかるような球場でも歩いて行くとか。

 

「だから、初めての球場へ行く日は、雨が降らないように祈るんです。遠方に来て雨で試合が中止になると、現地で一日中図書館に行って時間をつぶすしかないんです」という話を聞く、それだけで親近感が湧きます。

 

「中学生の大会でスタンドのない野球場で一人フェンス越しにスコアを付けていると、【高校野球からのスカウト】だと勘違いして、選手のお母さんがジュースや差し入れをくれるんです(苦笑)」なんてエピソードも、この人ならうなずけます。しかも「スカウトのフリ」をして、ちゃっかりジュースをいただく・・・なんてことはせずに、ご丁寧にも「いえ。私はこういうものですから」と、素性を明かして律儀にその差し入れはお断りするとか。

 

「野球が好き。そしてその野球に人生がかかっているのが好き。だから球場の大小ではないし、立派かどうかも関係ないんです。野球のその一球の行方でその人の人生の先が変わっていくかもしれない。そんな運命の瞬間に自分が立ち会えているというのが嬉しいんですよね」というセリフが斎藤振一郎さんの哲学を表しています。

 

語り口調はどこかあの「掛布」さんに似ています。本当に野球が好きなその人柄。斎藤振一郎さんが有名になったら、それこそ差し入れを持っていく隙も、自由に彼と話す空間も、持てなくなるかもしれないですから、もしどこかの球場で「斎藤さんらしき」人を見かけたら、勇気を出して「斎藤さん?」と、声を掛けてはいかがでしょうか?

 

その時は凄く幸せな時間を一緒に過ごせると思いますよ。

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