メロンパンはサンライズで、サンライズでないのがメロンパン
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生活
今回は「実はメロンパンはサンライズで、サンライズでないのがメロンパンなのだ」というお話。
最近、街角のあちこちでメロンパンの店というのが目につくようになってませんか?いつからこんなに日本人はメロンパンが好きになったのでしょう?日本人の定番菓子パンはアンパン・ジャムパン・クリームパンからメロンパンに主役の座は完全に移ってしまったかのよう。
そんなメロンパンの店を見る度に違和感を感じる人がいます。それが、誰あろう私(読裏)。それは私が暮らす街が「神戸」であるのと無関係ではありません。
この論議は以前からずいぶんと「その世界」では有名であったから、今から申し上げることを知っている人も多いでしょうが、それでも「知らない人は知らないということもまた真理なので敢えてここで申し上げておこうと思います。
神戸では「メロンパン」はメロンパンとは言いません。それはサンライズと言います。「え?それじゃ、神戸の人はメロンパンは食べないの?」というともちろんそうではなくて、メロンパンは別のメロンパンがあるのです。
言葉で説明してもなかなかラチがあかない。「百聞は一見にしかず」というわけで、こちらに紹介したのがその証拠写真。
そもそも今の(全国的にメロンパンで通っている)メロンパンはなぜメロンパンと言うようになったか?アンパンにはアンが入っているし、ジャムパンにはジャム、クリームパンにはクリームが入っているのだから、メロンパンにもメロンが入っている?訳ではないのに。それには諸説あるらしいのです。
一番ポピュラーな理由はこのパンの表面が、当時からの高級フルーツ、マスクメロンの外側に似ていたからそれにあやかろうとしたという説。これも、あやかろうとしたというよりは、マスクメロンの側模様に意識的に似せて作ったという説もあり、どっちも本当っぽい。
これに対抗する説が、このパンの生地の上にのせるビスケット生地のメレンゲがなまってメロンゲになって、当然のなまりでこれがメロンになったという説。これもそれなりに本当っぽい。
最後の説は、この生地の中にメロンフレーバーを入れたものが人気急上昇となって、ここからメロンパンと呼ばれるようになったという説。しかしそれじゃ人気沸騰になる前の、メロンフレーバーを入れる前にはどのように呼ばれていたのか?という疑問に対する答えは不明(笑)
そんなメロンパンは、神戸を中心に一部の人たちからは「サンライズ」と呼ばれていて、しかもそのまた極々一部の人は「サンライズ」とも呼ばずに「サンライス」と呼んでいるのです。何故メロンパンはサンライズになって、なぜサンライズの「ズ」は「ス」になってしまったのか?
そのルーツは、神戸市長田区の商店街の一角にあるパン屋さんにまで遡ります。その店の名は「金生堂」。実はここの店主の伯父さん、が今のメロンパンのようなビスケット生地を使った菓子パンを広島は呉の軍艦の町で考案。その表面の模様が、当時の軍艦に掲げた日章旗の放物線に似ていたことから日章=サンライズと命名して売りに出したらこれがえらい大評判となったらしい。
その後、この伯父から作り方を教えてもらった神戸・金生堂の店主が長田で売りに出してまたまた大ヒット。で、今に至るというわけ。なお、当時はサンライズとして販売していたこのパンは、地元のお客さんが自然に「サンライス頂戴な」と、言いやすさで「ず」の濁点を取って注文したため、「ほんなら売り名をそっちに変えるわ」という、まさに合理性の権化のような関西人気質を発揮して、サンライスで収まったということらしいです。
これでも「ややこしい」のに、話はさらにややこしくなります。なんと神戸の一部では今でもメロンパンはまったく違う菓子パンとして売りにだされているのです。生協組織としては日本有数の「コープこうべ」では、いまだにメロンパンと言えばアーモンド状の形に白いアンが入った菓子パンをメロンパンと呼んで販売しています。その証拠写真がこれ。
その由来は、かつてメロンは変種の「マクワウリ」を指していて、あくまでウリの仲間であるということから、このまるで「ウリ坊」にも似た形をかたくなに「これぞメロンパン」と称しているのです。「人には、なびかへん!」という、頑固一徹の関西人気質をこれまた発揮しているようなエピソードでもあります。
当然ながら先の「金生堂」でもこっちの「ウリ坊型」をメロンパンとして販売。
で、最後の結論。どっちのメロンパンが美味いのか?ということですが、これはもう断然!「ウリ坊型メロンパン」の方が美味い!メロンパンと言えば絶対にこっちであり、「なんだ、今日はサンライズかぁ~」という失望感の言葉はあっても「なんだ、今日はメロンパンかぁ~」というガッカリフレーズは存在しません。何故なら美味いから!(←しつこい?苦笑)
神戸に出張や旅行にこられる人がいたら、北野町にも南京町にも行かなくていいいから、長田の金生堂か、コープこうべという生協(スーパー)を訪ねて、是非是非、メロンパンを食べてみて欲しいね。そして神戸土産は、風〇堂や、本高〇屋なんていう定番中の定番もいいけれど、ちょっと「通」でいこうと思ったら是非この「ウリ坊メロンパン」を買って帰って欲しいな。
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