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ドフリーが外れる科学的根拠についての論文発表です

今回は私の長年の研究の成果を皆さんにご披露したい。苦節○十年、ようやく今日になって、その原因と仕組みを解明したのだ。人間工学と臨床心理学を融合させた、この研究の成果を皆さんと共有できることに、私はこの上ない歓びと、充実を感じるものである。

 

さて、その研究テーマは・・・

 

「ドフリーを外す科学的・人間工学的・臨床心理学的要因」である。

 

そもそもドフリーの状態は非常に刹那的であり、少しの油断、或いは状況の時間的浪費を放置していると、すぐにこの「ドフリー」状態は消滅する。すなわちこれは「ニュートリノの質量」検出にも等しい「非常に瞬間的」現象なのだ。また、どの試合にでも必ずそれが発生し訪れるという保証もなく、研究過程においては、数多くの試合観察と実施検証と対象分析を必要とした。

 

さて、ここで、君達と一緒にドフリーを決めることがいかに難しく、人間工学的に難易度が高いか?を一緒に事実関係に照らして確認していこう。

 

「ドフリーを外す科学的・人間工学的・臨床心理学的要因」

1)ドフリーの発生

まずドフリーの状態が発生する瞬間を考えよう。基本的にはドフリーが生まれる状況は、【①ラインを抜け出しスペースにスルーを貰った瞬間】か、サイドからの【②光速クロスがDFの間をすり抜けて来た瞬間】が圧倒的に多い。他に【③ドリブル突破が綺麗に決まって、DF全員を置き去りにしてあとはGKだけという瞬間】や【④高いクロスにDF全員が被って偶然GKと1対1】などの事例が想定されるが、基本的には①②を念頭に置くべきだろう。そのような瞬間に遭遇する時は概ね予備動作のために、それなりの運動量と運動ベクトルが働いており、それらの運動の慣性をドフリーの状態に合わせる難しさがまず最初にある。

 

2)ドフリーの確認

次に1)で発生した状況を物理的、心理的、瞬間的、本能的、に認識・把握する必要がある。つまり、脳の自意識に「よっしゃ!!ドフリーや!」という認識を持たせるために、全肉体の神経がその情報を伝達させる必要があるのだ。ただでさえ瞬時に消えるドフリー状態を確認するためには、更に短い、それこそコンマ秒よりも短い時間で、「ドフリー」を確認する必要がある。くどいようだが、ドフリーは儚く、瞬時に消えるものなので、その発生と確認に時間を掛けているようでは、全ての行為が「アフター・フェスティバル(あとのまつり)」となってしまうのだ。

 

3)ドフリーとの葛藤

1)・2)で完全に状態が確認できたら、次に乗り越えなければならない大きな障害が訪れる。つまり「うわ!どないしょ!ドフリーになってもた!」という精神的葛藤の処理という問題である。これは独特のアスリート心理であり、通常の心理状態から一種逸脱してしまっているのだ。この瞬間、全ての思考が止まり、頭は真っ白になり、あらゆる状況を想像してしまう。「外したらどないしょ!」という最も一般的なものから、「もろたで!ゴールしたら雄叫びや!」という亜流の心も存在する。もちろん一番重圧を感じる「絶対に決めんと!」というヤツをいかに内包するかが問題で、いずれにせよ「冷静」さと「沈着」さという、ゴールに対する最も必要で重要な精神状態から著しく離れた状況に自らを追い込んでしまう、この現象を乗り越えなければならないわけである。人によっては「ボールだけを見て無心で臨むべき」という学説を唱える人もいるが、私はその旧来からの説を採用する立場には立たない。

 

4)ドフリーの対応

さて、1)・2)を通過し、3)を乗り越えれば、いよいよこのドフリーの状況に対して自らのアクションを決定し、そのアクションを実行しなければならない。①の場合は、「ダイレクトで撃つか、一度持つか?」という、古今東西の全てのFWが潜り抜けた難問を処理せねばならず、②の場合は、ボールが飛んでくる速度と加速度、角度と空気抵抗、などの全ての可変数を頭の中で処理し、ボールを撃つ時間的、空間的位置を決定しなければならない。またその高度の測定からヘッドにするかボレーにするかを決済しなければならないことは言うまでもないことだ。またこの状況はボールだけを見て済む問題ではなく、ボールを視野に入れながらも、そのボールに同様に対応している敵DF、GKの体重移動や動きに全神経を使わなければならない。

 

5)ドフリーの処理(予備動作)

4)で全状況を把握すると同時に、最終的に自分が取るドフリーへの対処方法を決定し、その決定した行動に対して予備動作を始めなければならない。何故なら、この瞬間・瞬間にも、ボールはドフリー状態のまま自分とあるのであり、いつ消えるかも解からないドフリー状態をいかに維持、凝視しながらも、『来るべき時』のために、全筋肉、全神経を万全の状態で保全しなければならないからで、撃つ状態のコンマ秒から以前の過去に遡って自らの行動を時間軸に合わせて推移させなければならない。

 

6)ドフリーの終結

何度も言うがドフリーは瞬時の発生現象である。ドフリーはコンマ数秒で儚く消える。その消えゆくドフリーを自らの行動で最終決着をつけるべく、自らの意思で自らの身体を持って毅然とした思いで敢然と終結させなければならない。それは「インステップのバッシ~」でもいいし、「インサイドのチョコン!」でもいいし、「インフロントのフワリ」でもよい。もちろん「ボレーのドッコ~~ン!」でもいいし「ヘッドのベッチィ~~」でも良い。ドフリーを終結させるための選択の制限はなく、全ては自由選択である。栄光に繋がるゴールはもうすぐ目の前なのだ。「外す恐怖」と「入れる歓喜」の最後の分岐がまもなく訪れる。

 
 

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お解かりだろうか?ドフリーに対しては、この1)~6)の全ての行為を、正しく、迅速に、正確に、行わなければならない。そうでなければドフリーの状態は瞬く間に消え去り、自らの栄光も遥か彼方へ消え去ってしまう。当然ながらそれらを中途半端に実行してしまえば、「キーパーへの引っ掛かり」に始まり、「当り損ね」や「吹かし」、挙句の果てには「空振り」なんていう事態にもなりかねない。

 

しかしそれも致し方ないのではないだろうか?何と言ってもこれら一連の連続動作を全ての条件を分析・加工・再計算しながら、コンマ秒の世界で全て終えなければならないからだ。

 

ここまでの研究成果を振り返ると以下のことが言える。

 

「人間工学的な考察からすると、ドフリーは外して当たり前」であり「ドフリーを決める」ことこそが「人間離れした神業」である・・・と。

 

私はこの前人未到の研究成果を今日、君達への講義で一足先に発表したが、正式には次の学会で発表したいと思う。

なお、この行動過程と、要因の背景の範囲を次の試験に必ず出すから、よくノートを取っておくように!

 

「ソウタ!居眠りせずに、ちゃんとノート取りなさい!」

 
 

 

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