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なぜメルカリは鹿島アントラーズの経営権を取得したのか?昭和と令和のスポンサードの違いを探る

メルカリが鹿島アントラーズの経営権を取得した。実際は、鹿島アントラーズを運営する鹿島アントラーズ・エーエフシーの発行株式の61.6%をメルカリが取得したというもの。鹿島アントラーズを運営する会社に対してメルカリが意思決定権を持つということは、つまりすなわち、「鹿島アントラーズをメルカリが所有している」ということに等しい。

 

案の定という人もいれば、「え?ホンマに?」と、マジで驚いていた人もいたが、これはもう時代の必然というか、時代の流れを実に象徴する出来事なんだろうと思うね。

 

その昔、Jリーグが発足しようとしたとき、このクラブとスポンサードの関係はかなり論議となった。もっとも代表的なものはクラブの名前。当時、「読売ヴェルディ」と名乗ったのを、時のJリーグチェアマンである川渕さんが認めず、そこで読売のドン、渡辺恒雄氏とケンカ?になったのはあまりにも有名な話。最近この二人が対談を行っていて「当時も我々二人は独特の価値観で繋がっていた」なんて、もっともらしく昔話を語っていたが、いやいや・・・そら当時はかなりぶつかってたよ。それは当時の価値観の違い。理念の違いであったからね。

 

今でこそ「渡辺氏の考えは旧い。スポーツは地域密着が基本であり、一私企業のものではない」なんてことがもっともらしく聞こえているけれども、当時はそんなもん・・・「あ○か!考えられんわ!タイガースは阪神が持っておるし、日本ハムは(当然のことのように)日本ハム、西武は西武グループのもん。そしてあの読売巨人軍は読売の所有物」という考え方が一般的だったわけですわ。

 

そこからプロ野球もスポンサード企業は変わっていったわけで、まさにその変遷は時代の強者を表している。ひと昔前は阪急・南海・近鉄・阪神の関西4大私鉄と、九州の西鉄を合わせた「鉄道会社」(西武は鉄道と小売・流通のコングロマリット系)。

 

そして巨人・中日・ヤクルトを代表とした「新聞・マスコミ系」(ヤクルトは産経グループ)。そのあとはダイエーに代表される「流通系」。平成になって俄然台頭してきたのが同じ情報系でも、いわゆるオンライン系。ダイエーはソフトバンクになり、近鉄は事実上楽天に、そしてベイスターズは大洋→TBS→ディーエヌエーと移り変わっていったわけです。

 

この移り変わりはただ所有企業の業種・業態が変わったというだけではなくて、球団を持つ価値、意味も変わってきているよね。

 

 
 

<Sponsered Link>



 
 

 

昭和の時代はスポンサードはあくまで「赤字覚悟」の「広告経費」。○○億の金で毎日「日経」や「NHK」や「4大新聞」、あらゆるマスコミに「ただで」名前が載るなんて安いもんや!という考え方ね。オリックスが入ってきたときも宮内さんは堂々とそうインタビューで物申しておりました。

 

当時、オリックスなんて誰も知らなかったけれど、イチローの存在も加わって一気に名前は全国区に。今では学生さんからも超人気の有名企業になっていったわけやし。

 

なんせ東証上場企業の数は2000を超える数の中で、プロ野球を持てる会社の数はたったの「12」そら、2000分の12のポジションなんやからメチャメチャ貴重ですわね。それがたった数十億で買えるので、かなり魅力的なコンテンツであると、当時もプロ野球球団はそう評価されていました。ただそれはあくまで「広告コンテンツ」としてのお話し。

 

今回のメルカリは、その当時の考え方、コンセプトとは明らかに違う。というより、今のJリーグとスポンサードの関係は、昭和のプロ野球とJリーグの考え方が当時違っていた以上に、今のJリーグのスポンサード企業の考え方からもまた大きく変わろうとしている。

 

つまり「スポーツビジネス」としての投資対象。

 

実はこのニュースが発表されるまさに2019年7月。その初旬にスポーツビジネスシンポジウムにメルカリの小泉文明氏が登壇してこのようにメッセージを出していたんだよね

 

「我々は(スポンサードを)短期と長期で考えている。メルカリは現在20代、30代の女性に強い。が、その反面30代と40代の男性に極めて弱い。そういうところに刺激を与えたくて鹿島アントラーズや日本ハムファイターズのスポーツに投資した。私たちは若い会社なのでアントラーズのスポンサーをすることでブランド価値を創っていこうと考えた」

 

これはもう完全にマーケティングにのっとった考え方であり、ある目的意識をしっかりと持っている。ま、もしかしたらその目的が達成できればあっさりとアントラーズを手放すかも解らないけどね(現に短期で考えているって言ってるし!)

 

ま、ガンバのパナソニックはそんな考え方はしていないだろう。横浜FCの日産もしかりだし、名古屋のトヨタもそうだろうね。実は鹿島もそうだと思っていたんだよ。つまり、やはり、どこか、プロ野球の薫りをひきずったクラブの持ち方。一種の「名誉フィー」と「広告フィー」というもの。実はその所有する企業の規模がプロ野球よりもはるかにデカいので、「地域密着」で行っているクラブに対してもそれほど細かく費用対効果は問わないというだけだったということ。

 

だから「パナソニック・ガンバ」と呼ばれなくても結構だし、「日産マリノス」にならなくても「トヨタ・グランパス」でなくてもいいと。

 

このあたりの考え方に少し変化が生まれたのが、実は「ジャパネット」の長崎参入であり、楽天のヴィッセル神戸への力(←ここはあえてリキと読もう!)の入れ方。

 

この辺りになると、「金を出す意味をしっかりと解ってアクション起こすから」という感じになってきている。つまり企業の利益になるアクションのための、マーケティングの一環としてのスポーツという分野への投資という考え方。もちろんそこには「認知度アップ」や「社会貢献を含むイメージ向上」という要素はあるものの、その目的を隠そうともせず、しっかりと前面に押し出してくる感じ。

 

ワタクシ自身、スポーツビジネスという分野に興味を持ってはいるものの、いまだその「明確な姿」というものにはなかなか出くわさない。そんな中でメルカリの参入はかなりエポックです。おそらく鹿島スタジアムはこれからスポーツビジネスの拠点となるだろうし、エンターテインメントの中心となるように思う。ちょうど横浜ベイエリアを巻き込んだディーエヌエーのようにね。

 

時代はそうなるんやね。令和のスポーツはこうなっていく。それは巨人軍でも抗えない。

 

これ、たぶん、おそらく、ヒジョーに、「ええこと」なんやろうと思う。

 

目的が理に適っているし、雰囲気も明るいし、いわゆるウィン=ウィンだし、健全だしね。まさに令和のスポーツという感じ。

 

でもなぁ~、これになんとなく淋しさも感じるのですよ。

 

あのどこか暗くて恐くて、淋しくて、不健全だった、スポーツ観戦=大人が憂さを晴らす場所。つまり、西宮球場の「阪急vs南海」の世界、川崎球場の「ロッテvs東映」の世界、広島市民球場の「広島vs大洋」の、殺伐とした「大人の夜の世界」が無くなってきたよなぁ~~ってね。

 
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